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後味悪い幕切れ

岩貞の立ち上がり  広島の速攻を許した阪神が、必死の追い上げも届かず首位広島との大事な3連戦の初戦を落とした。

広島先発・野村に対して阪神は1番 西岡・3番 福留と実績のある打者を約一週間ぶりに戻して来た。初回 西岡が中前安打で出塁するが、後続は3者連続空振り三振に倒れる。

阪神は、プロ入り後 13試合登板で広島に勝ち星の無い左腕・岩貞が先発。立ち上がり 2四球1犠打の一死1・2塁から4番 鈴木の中前適時安打で簡単に先制を許した。二死後6番エルドレッドにはフルカウントから変化球を打たれ左中間への2点適時二塁打を浴びて、忽ち3対0とされてしまう。

 阪神は4回表二死から中谷の右中間二塁打と2四球で満塁とするが、7番 大和は二ゴロに倒れて得点を返す事が出来ない。その裏  松山のヒットから一死1・3塁とされた岩貞は、8番 會澤に左前適時安打を打たれて追加点を奪われる。岩貞は4回(85球)まで投げて 4安打 4三振 4四死球 4失点で降板となった。「(初回は)走者を溜めたところを痛打されてしまった。勝負どころの粘りが足りなかったと思う」。岩貞祐太投手は、またしても広島戦で結果を残せず悔しそうに振り返っている。

 5回表 阪神は坂本・(岩貞の代打)大山・西岡の3連打と2番 上本の右犠飛。更に3番 福留の左前適時安打で2点を返したが、その後の二死満塁では6番 鳥谷が遊ゴロに倒れて、あと一押しが出来ない。野村は阪神の各打者に粘られるなど、やや苦しむ場面もあったが、6回(117球)まで投げて6安打 3三振 3四死球 2失点で纏めている。

7回表  阪神は広島2人目・中田から放った左中間への飛球をレフト松山がグラブに当てて取り損ねる間に一気にホームまで駆け抜ける2番上本の6号ランニング本塁打で1点差に追い上げる。しかし、8回には広島・中崎から鳥谷の四球で先頭打者を出しながら、7番 大和が送りバントを失敗。代打・伊藤隼も二ゴロ併殺打に倒れる拙い攻めとなって追いつく事は出来なかった。

阪神は、5回から松田〜岩崎〜高橋とリレー、8回には腰の張りで離脱していたマテオが復帰登板。走者は出しながらも何とか凌いで最後の攻撃に望みを繋いだ。そして、9回表 阪神は一死後ヒットで出塁した西岡が、上本が空振り三振を喫した際に盗塁を決めたかに見えたが、打者・上本が捕手の送球を妨害した(守備妨害で走者アウト)と判定されてゲームセット。金本監督の抗議も虚しく4対3で広島が逃げ切った。阪神には何とも後味の悪い幕切れである。


惜しくも敗れた阪神だが、中盤で差を広げられる展開の中、最後まで諦めずに1点差まで迫った粘りは評価したい。追加点を許さなかった救援陣は勿論だが、攻撃陣でも5回表 フルカウントから野村の執拗な内角攻めに4球ファールで粘った末に四球をもぎ取った5番 中谷の打撃内容は称賛に値するものだった。

7試合振りに1番を打ち3安打の西岡 剛内野手は、「(最近)自分の中で感覚がズレたところがあった。(名古屋から試合が1日空いた間に)修正出来たかな?とは思うけど、どこまで正しいか?確認している状況。今日結果が出た事に関しては良かった」と振り返る。

「少ないチャンスをいかにモノにするか?というところだった。野村の投球は良かった。中谷の粘り、大和のヘッスラ(二度に渡るヘッドスライディング)とか・・」。西岡の活躍も含めて片岡篤史打撃コーチは、野手に一定の手応えを感じている様子だ。

 「(ベンチからは良く見えなかったけど、杉永球審からは)意図的でなくても結果的に妨害はあったという判定だった。(マツダスタジアムでの広島戦という独特な雰囲気の中で不利な展開になってしまっているけど)自分たちで打開して行かなくてはいけない」。敗れた直後、金本知憲監督は懸命に言葉を振り絞る。「(岩貞は四球が)初回に2つは痛いな。(打線が追い上げて)あと一歩というところだったけど、また明日だね」と話していた。